チョコレートを美味しく見た目よく仕上げるためには、テンパリングという技術が不可欠になります。
テンパリングとは
「テンパリング」とは、Tempering=焼き直し、という語源から分かるとおり、再度温度調節をすることを言います。
チョコレートの場合のテンパリングとは、溶かすために上げた温度を一旦下げ、再度加熱して適温で安定させる作業を言います。
このテンパリングを行うことで、ココアバターの結晶を安定化させ、なめらかで艶のある口溶けの良いチョコレートを作ることができるのです。
チョコレートのテンパリング方法
- 45~50℃でチョコレートを溶かします。
- チョコレートが25~27℃になるまで、ゆっくり混ぜながら冷やします。
- 31~32℃まで再び温めます。
- 型に流し込んだり、コーティングしたりします。
- 最後に冷蔵庫などで冷やして固めます。
チョコレートのテンパリング温度曲線は、約43℃(完全に溶けた状態)から始まります。冷ましながら温度が30℃以下に下がってくると、とろみがつき始めます。
その後、再加熱を行なって32~33℃くらいまで温度が上がってくると、テンパリング効果によって安定した結晶化が起こるのです。
ココアバターの脂肪分がどのように結晶化するのか知りましょう。
ココアバターの脂肪分の結晶化には6つの段階があります。
溶かすために上げた温度が下がってくるととろみが付き始めますが、その後どの温度帯で結晶化させるかによって出来上がりのチョコレートには以下のような特徴が生じるようになります。
滑らかなチョコレートを作るためのテンパリング作業とは、第5段階に仕上げることを指します。
- 第1段階 17℃ チョコレートは柔らかくてもろく、溶けやすい。
- 第2段階 21℃ チョコレートは柔らかくてもろく、溶けやすい。
- 第3段階 26℃ チョコレートは固まっているがパリっと割れず、溶けやすい。
- 第4段階 28℃ チョコレートは硬くてパリっと割れるが、溶けやすい。
- 第5段階 34℃ チョコレートは光沢があって硬く、パリっと割れる。体温で溶ける。
- 第6段階 36℃ チョコレートは非常に硬い。固まるのに時間がかかる。
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チョコレートの成分と特徴
チョコレートはカカオ豆の成分(カカオマス、カカオバター(他にカカオニブ、カカオパウダーなど))に砂糖や粉乳などを加えて作られます。
カカオマスにはチョコレートらしい香り・苦味がありますが、カカオバターは無味無臭です。
ですが、後述のとおり、チョコレートの状態の善し悪しを決定づけるのはカカオバターの存在です。
【メモ】カカオとココアは製造方法によって呼び名が変えられているそうで、カカオは低温ロースト、ココアは高温ローストしたものだそうですよ。
カカオバターはとてもおもしろい油脂で、正しくテンパリングを行って冷やし固めると融点(とける温度)が約33℃の結晶になります。
コーティングに適したチョコレート作り
テンパリング不要の製菓用チョコレートというのものが販売されていて、コーティングチョコレートやパータグラッセ【仏:pâta à glacer】という名で呼ばれています。
これらと通常のチョコレートの違いを調査したところ、おおまかに言えば、油分の配分量が多めになっています。
通常のチョコレートを購入したものの「コーティングし難い」と感じたら、テンパリング作業の初段階「1. 45~50℃でチョコレートを溶かす」でチョコレートをダマなく溶かしたところでサラダオイルなどをチョコレート量の10~20%ほど混ぜ込んで下さい。
かなり滑らかな液状に仕上げることができますよ。